(このコーナーは、「落札後の手続き」の追加として掲載していたものを一部修正して独立させたので、既にお読みの方はご容赦下さい。)


20年以上前のことです。

世田谷の閑静な住宅街に、競売物件の調査にいきました。

ご主人のN・F氏が在宅、面談できました。

実に若々しい方です。

ハゲの私には羨ましいほどの黒い髪がツヤツヤ。

どうみても、40代後半の感じ。

聞くと60歳を過ぎています。

語り口に品があります。

どうして競売なんかに。

長期入院、死線を彷徨っているうちに、信頼する部下に会社の金をつかいこまれた結果の競売でした。

まさか、彼があんな事をするなんて。

遠くを見るように顔を曇らせましたが、それは一瞬。

明るい表情で、これからの進行状況を聞いてきました。

落されればさっさと出ます。

さあ〜、これから再出発ですよ、と私に微笑みました。

聞く人を惹きつけて包み込むような雰囲気です。

奥に、老婦人がおり、会話を聞いていました。

表情に不安が感じられません。

自宅競売という最大のピンチの中で、二人の絆がしっかり保たれているという、私の経験的な割合では数%以下の、非常に珍しい、ご夫婦のようです。






・・・自宅が競売になりますと、夫婦仲は、破滅壊滅氷の状態になるケースが多いようです

・・・そして

・・・女性は、男性を言葉と態度で(なかには暴力で)ズタズタに痛めつけます

・・・半死半生、フラフラグッタリの男性

・・・それを尻目に、独り逞しく歩き出す女性・・・

女性は、ピンチに、泣き叫び、狂乱を演じます。

自分の中で、修羅のトンネルを抜けたあと、「雪国」の明るさどころではありません。

強い!・・強い!・・強い!・・本当に強いですよ〜〜〜〜。


地獄の教室での男性の選択科目、


自殺しようか、

ホームレスになろうか、


そんな発想は微塵もありません。

ひたすら、活きます、すごいですねえ。

自分の夢を壊された(今までの努力を否定された)男性と、子供に夢を託す(未来を見つめる)女性との違いでしょうか?

遺伝子の違いでしょうか。






数年後、私は、その社長と出会いました。

出会った場所は、なんと・・・


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○



ある週刊誌の全面広告上でした。

にこやかに笑う社長の顔写真を発見しました。

念のため、名前を確認。

N・F氏です。

間違いありません。

健康食品製造販売会社の社長として、商品を宣伝していました。

社長自身の若さが、長年商品を愛用した結果であり、一番の証明です。

相変わらずの若々しい笑顔。

私は、即その商品を申し込んでいました。

感動をこめて、愛飲しました。


・・・・・・・・・・


その後、妻の軽いひと言で即中止。

お父さん、前から気にいったお洋服がバーゲンで安くなっているの。

買うから、○▲(愛飲していた商品名)は暫くやめてね。


ハイハイ。


妻に反抗する、という発想は微塵もありませんので、家庭円満で〜〜〜す。