Nさんは、都内、大地主の長女に生まれました。

若い頃はわがままいっぱいだった、とは本人の弁。

(「今は違います。こちらが恐縮する程、低姿勢、謙虚です。」)

現在70歳。

とても小柄なオバアチャマ。





20歳過ぎ、土建屋さんに嫁ぎました。

従業員50名位の規模です。

采配を振るっていた義父が、嫁いてすぐ死亡。

結婚相手は、土建業という仕事があまり好きではないようです。

Nさんが一切を仕切らざるをえない状況でした。

やりました。

当時は、日本経済の高度成長期。

仕事は溢れています。

人手が足りません。

「山谷」(さんや)で約50名位を毎日調達。

(当時、「山谷」とは言わず、「やま」と言っていたそうです。現在、「山谷」という地名はありません。)


合計100名位を毎日手配。

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「山谷」と聞いて、私は驚きました。

私の印象では、「山谷」は恐ろしい地域です。

普通の人は、

近づけないし、近づいてはいけない街。


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無法地帯、凶悪犯罪者の群、殺人、暴力、喧嘩、バクチ、浮浪者、アル中、喧嘩、スラム街・・。

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そういうイメージでした。


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とんでも無いですよ。

あんな良い所はありません。

あっ、今の「山谷」は分かりません。

私の知っている当時の「山谷」です。

本当に皆良い人たちばっかりです。

元締めはいましたが。

「山谷」は半端者・はみだし者のよせ集まり、と思われています。

違うんです。

全く逆です。

半端者・はみだし者は、住めないんです。

出て行かざるを得ないんです。

やま(山谷)の規律はしっかりしています。



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規律って何ですか?

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全体の雰囲気ですよ。

やま(山谷)は、暖かい人だけが残れるんです。

長く住めるんです。



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仕事にあぶれた人がお腹をすかす事はないのです。

必ず、どこかで食事をとっています。

仕事にありついた人のところで。

本当に人間らしい人達です。

肩寄せ合って生きてるんです。


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そりゃあ、色んな人がいましたよ。

でもね、一瞬でも、ひるんじゃあダメです。

(私は、この一言に凄みを感じました。)



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「山谷」で殺人事件が起こったって、犯人は分かりません。

警察でペラペラ喋る人はいませんよ。

それも規律のうち。

人の噂、悪口なんかは一切言いません。

勿論、自分の事も。



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食事。

刺身は腹の部分、血あいがバッチリ。

イカの刺身は、足(ゲソ)だけ。

それをね、手づかみで、醤油につけて食べるんです。

美味かった!!!

あんな美味しい食事は、高級料亭だって無理無理。

最高でしたよ。

テーブル?

みかん箱をひっくり返してテーブルです。



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大地主のお嬢様としては、全くビックリの別世界だったのでしょう。


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神さまは、Nさんに、更に違った環境の勉強をさせてくれました。

それは、次回で。


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