みごとな生き方は、ピンチや逆境に遭遇した時、正体をみせるようです。

債務者となった中小企業の経営者A氏 (年齢・60歳前後)と面談しました。

面談したのは、私が勤めていた会社の社長。

私はカバン持ち。

A氏は、胸をはり、キッチリ社長の目をみて話を聞いています。

競売物件の債務者兼所有者特有の暗さがありません。

『(競売にかかった)自宅も工場も全部、空にしたよ。

だから、(競売で)買い易いだろう。

ここは、昔世話 をした人の好意でただで使わして貰っているんだ。

とにかく、会社としてもう一度太らなくては。

銀行だって、今うちを潰せば大損だよ。

マイナスからだが、再スタート。

逃げたりはしませんよ。』

現在の状況を、完全に前向きにとらえています。

澄んだ瞳で、そう言われますと、非常な説得力です。

競売にかかった債務者の眼ではなく、希望に燃えた青年の眼です。

債権者に内緒で数百万の提供を伴う任意売却の話は拒否。

『そういう自分だけが得するような事をやれば、必ずいつか失敗するよ。

世の中、結構正しくまわっているんだよ。』

帰りの車中。

「いやあ、大した侍だなあ。参った参った。」

私は耳を疑いました。

交渉が失敗したのに、社長が他人を誉めている!!!

こんなこと、入社以来、初めてです。

内心、とても満足している気分が、伝わってきます。

純粋でひたむき、正しい姿勢は、一筋縄ではいかない強烈な人物にも、感動を与えたようです。

        



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