今日のポイント・・収益用物件の賃借人の立場と、買受人の敷金に対する対応の一つの考え方


物件明細書の「3 買受人が負担することとなる他人の権利」欄が「なし」という記載で、

次の「4 物件の占有状況に関する特記事項 」で、次のような文言が記載されている場合の、私がコンサルする現実的な対応についてお話させて頂きます。


普通の賃借人とします。


どれも、「○○が占有している。」

という文言の後に続く文言です。

「同人の占有(又は賃借権)は(仮)差押えに後れる。」

「同人の占有(又は賃借権)は滞納処分による差押えに後れる。」

「同人の賃借権は抵当権に後れる。但し、代金納付から6ケ月明渡が猶予される。」

「同人の賃借権は差押(仮差押え、滞納処分による差押)後に期間が経過している。」


このような文言がありますと、落札者が代金納付手続きを終了し、その物件の所有者となった時点で、賃借人の立場は天国と地獄位に変わってしまいます。

賃借人が旧所有者と交わした賃貸借契約は、新所有者(買受人)には全く通用しないのです。

新所有者の前では、従来の賃貸借契約書は消滅してしまい、無効、なのです。

賃借人は、立場が、合法的賃借人から、なんと不法占有者になってしまいます。

敷金をいくら預けたんだよ、と契約書片手に新所有者に詰め寄っても、法律は守ってくれません。

それどころか、居座ろうとしても、(表現が悪いのですが)強制執行で叩き出されてしまう運命にあります。

買受人に対しては、契約自体が無いのですから。



そこで、買受人の対応です。

大抵、収益用物件を取得するのは当然、家賃が目当てです。

できれば、今の賃借人に引続き借りて貰いたいです。

いったん退去されますと、まずリフォーム、並行して、入居者の募集。

結構経費がかかってしまいます。


買受人の中には、法律の判断を優先して、

現在の賃借人と契約をする時、新たに敷金を要求する方がいます。

これ、必ずもめます。

あたり前です。

賃借人は、何の悪さもしていません。

青天の霹靂の被害者です。

そうして、賃借人は、面白くない、と退去するケースがあります。

今、敷金なし、なんて物件も結構あります。

冗談じゃあない、のです。


私が収益用物件取得を目的とした依頼者にする基本的コンサルは、敷金を負担したほうが良いです、というアドバイスです。

但し、1年以上は借りてください、などという条件をつけたら如何ですか、と。

せいぜい敷金は多くても賃料の2ケ月分です。

退去されて入らなくなった賃料のマイナス分と、新たに募集するのに支出する金額の合計額のほうが敷金よりはるかに上回っているはずです。

まあ、例外的な場合もあるでしょうが・・。



商業ビルの場合は別です。

なんといっても、保証金の額が違います。

その辺の判断は、専門業者と相談されてください。