今年初めに処理した一戸建のお話です。

三点セットによれば、家財をソックリ残して、所有者は1年以上前に転居しています。


落札後、裁判所で、「事件記録」を閲覧。

(「事件記録」の閲覧等は、利害関係人に限定されます。
事件記録につきましての詳細は、ここ(※)をご覧下さい。)

チェックしたのは、陳述書郵便配達報告書です。

これで、今回の空家の解決の手掛りをつかもうと思っています。

差押登記の時期から入札期間までの期間は、標準です。

所有者が行方不明、という事はないだろう、という感触はもっていました。


陳述書とは、執行官が所有者に対して、不動産の占有状況について問い合わせた質問書です。

回答は、丁寧に書かれていました。

記載された提出日は、提出期限の数日前です。

所有者はキチッとした常識人のようです。

話せば分る人物でしょう。

氏名欄の下に携帯の番号が書いてありました。


よし、連絡先は分った。

ただ、携帯は、一度連絡できても、2度目は拒否されかねません。

携帯に電話する時期は慎重にしよう。

これが分っただけでも、事件記録を閲覧した甲斐がありました。

現況調査報告書には記載されない事です。
(記憶違いでなければ、陳述書は、三点セットに綴じ込まれている事もあったような気がしています。)



郵便送達報告書は、裁判所が所有者に送った重要書類(競売開始決定正本)の受取状況が記載されています。

書類は、郵便局窓口にて受領していました。

こちらからの手紙も、受取る可能性はあるようです。

転居先は分りませんでした。


翌日、現地に行きました。

人の気配はありません。

門扉が開いています。

入りました。

門扉の脇の郵便受けに郵便物が数通投函されていました。

所有者と家族あてです。


変だな、本当に転居していれば、郵便受けはDMやチラシで溢れているはず。

どうも郵便物は取りに来ているようです。


庭は草ぼうぼう。

盆栽は転がったままです。


近隣の聞き込みでは、1年以上前から所有者家族の姿は全く見ていない、という事です。

ただ、時々、深夜に2階の窓のカーテンがボーと明るいことがあるので、誰かがいるかも、という話です。


念のため、電気メーターを探しました。

建物の裏にありました。

メーターは、取外されておらず、ゆっくりと回っています。

誰かが出入りしいているのは間違いありません。

郵便ポストの状態から、恐らく所有者、という気がします。


翌日、市役所で、所有者一家の住民票を申請しました。

登記簿謄本・売却許可決定の写し・三点セットの一部を添付しました。

関係を担当者に説明。

家族全員を申請したのですが、所有者だけしか取れません。

それも、本籍などは不記載のものです。

所有者は住民票を動かしていませんでした。


翌日、切手を貼らない手紙を直接郵便受けに入れました。


数日後、現地に行きました。

郵便受けに手紙はありませんでした。



連絡がくるかな、とりあえず待とう。

1週間ほど待ちました。

連絡はありません。

再度手紙を出しました。

手紙の文面は、微妙に変えています。

やはり、連絡はありません。


まさか、手紙を取りに来るのを張り込む訳にもいきません。

どうやら、私の分析は甘かったようです。

仕方がない、強制執行も視野にいれるか。


残代金納付手続きが終わりました。

引渡命令の申立をしました。


3度目の手紙を出しました。

法的には不法占有者、という文言をいれています。

10日ほど待ちましたが、連絡はありません。

恐らく、引渡命令は受領しているはず。

裁判所に確認しましたら、受領済です。

いよいよ携帯電話に連絡をいれるタイミングかな。

お昼時、電話しました。

繋がりました。

面談の約束をとりました。


2度目の面談から1週間後、家財一切が完全に搬出されました。

所有者は、諸設備の仕様書と鍵をこちらに渡してくれました。

廃棄書兼放棄依頼書には、しっかりサインを貰いました。

勿論、立退料は払いました。


代金納付手続きから約1ケ月経過していました。

強制執行ですと、2ケ月はかかってしまいます。

費用も結構かかります。

これが最善かな、と自分を納得させて、一件落着です。



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