引渡命令の申立の資格を有する人の注意事項があります。

申立の資格を失う行為を、うっかり何の気なしに行っている場合があります。

あとで指摘され、損害を被るかも知れません。

充分に注意してください。


まず、空家物件の場合です。

空家につきましては、過去にここ↓でお話させて頂いております。

http://www.e224.com/archives/51852452.html

あわせてお読み頂ければ、と思います。


空家を落札しますと、心配な事があります。

誰かが入り込みはしないか。

無人のはずが、夜間明るくなっていたり。

室内で悪質な悪戯をされては困ります。

管理人も一度、落札した空アパートに入りこまれた事があります。

家出した高齢男子が寝泊まりしていました。

夏場でしたから良かったものの、

寒い時期で、室内で火でも使われたら、場合によっては一大事です。

防犯上、鍵を換えたくなります。

これ位は許されるだろう、なんて思って換えたら、

チョット、大いに不味いことになる可能性があります。


物件は買受人の占有下となり、占有を取得した、と見做されます。

占有を取得した買受人は、判例にもありますが、

これから占有を取得しようとして申立てる「引渡命令の申立」を申立てる資格を喪失した、とみなされます。

といっても、裁判所の担当者は、鍵を換えた、なんて事は、申立人が黙っていれば分りません。

担当者は、事務的に引渡命令の申立を受理するでしょう。

引渡命令の正本を受理した買受人は、手続きを経て、強制執行の申立をしたとします。


執行官が現場に行き、買受人が鍵を交換した事が分かりますと、

その時点で執行はストップ。

「執行不能」となります。

鍵の交換は、物件が既に買受人の占有下にある、と判断されます。

つまり、執行官(国)を通して、物件の引渡を受ける事ができなくなります。


執行官(=国)を通して引渡を受けていれば、

あとあと、何か言ってこられても、一切は「国」にバトンタッチです。


空家に対しても、慎重に「引渡命令」で処理している超Aクラスの大ベテラン業者もいます。

経験上、競売物件は何が起こるかわからないので、

とにかく「万全を期したい」から、だそうです。


空家だからと言って、気軽に考えず、慎重に対処されて下さい。

(私の場合、所有者が占有していると記載された空家の場合、所有者を探し、話し合い(=金銭の提供)で引渡しを受けています。探し出せない場合は、原則、引渡命令で処理しています。)

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以下は、管理人が参考にさせて頂いている専門書です。

【「民事執行の実務(上)」[補訂版][不動産執行]著者 深沢利一 補訂 園部 厚】
の604ページ中段からの引用です。

(3) 買受人の引渡命令申出資格喪失
に、次の記述がありますので抜粋させて頂きました。

<買受人が目的不動産の占有を取得したり、占有者に対して占有権原を付与したりした場合、以後は、引渡命令の申立資格を喪失すると解される(東京高裁決定平成10・7.・8判例時報1671-77)。>

これは、【「民事執行の実務第3版・不動産執行編・下 編著者 東京地方裁判所民事執行センター実務研究会】115ページ最下段の3行でも同文が記載されています。

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