通常の取引(=任意売却)の場合、

決済時(=引渡時)において、

取得年度の固定資産税、都市計画税(以下「固定資産税等」と言います)は、

売主・買主が所有期間に応じて、

日割で精算して負担するのが普通です。


競売物件の場合はどうでしょう。

判例では、取得した当該年度の固定資産税等については、

買受人に負担義務はない、としています。

参考までに、判例の要旨を以下に掲載いたします。

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(東京高裁判決平成13.7,31)

地方税法は、固定資産税について、いわゆる台帳課税主義を採用し(同法343条)、かつ、賦課期日は当該年度の初日の属する年の1月1日であると定めております(同法359条)、法律上の納税義務は、同日の所有者名義人のみが負うとされていることが明らかである。

 また、都市計画税については、その賦課徴収は固定資産税の例によるものとされるとともに(同法702条8第1項)、その賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされており(同法702条の6)、都市計画税についても、法律上の納税義務は、同日の所有名義人のみが負うとされていることが明らかである。

 また、不動産の譲渡が当事者間の合意によって行われる場合には、当事者間で固定資産税又は都市計画税の相当額(以下「固定資産税等相当額」という。)の負担について合意により調整することが可能であるが、不動産競売手続においては、その余地は全くない。さらに、現在の不動産競売の実務において、固定資産税等相当額を買受人に負担させないことを当然の前提として、不動産の評価及び最低売却価格の決定がされていることは、当裁判所に顕著である。

 これらの事情を考慮すれば、不動産競売手続により不動産を取得した者が、その不動産について、取得日が4月1日から翌年1月1日までの間である場合にあっては、当該年度に係る固定資産税等相当額、取得日が1月2日から3月31日までの間である場合にあっては、当該年度及び翌年度に係る固定資産税等相当額を負担しないとしても、その不動産競売手続きにおいて上記固定資産税等相当額を買受人に負担させることを前提として不動産の評価がされ、最低売却価格が決定されたなどの特段の事情のない限り、上記固定資産税等相当額を不当に利得したということはできないというべきである。」

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マンションの滞納管理費等に対する扱いとはちがいますので、ご注意ください。

マンションの滞納管理費等は、買受人に負担義務がありますので、

売却基準価額算出の際、その時点で明らかな滞納額は、控除しています。

さらに、物件明細書備考欄に、

普通は、「管理費の滞納あり」という注意書が付されています。


固定資産税等につきまして、物件明細書に記載は一切ありません。

買受人に、取得年度の負担義務はありませんので、

入札希望者に注意を促す必要が無いからです。

売却基準価額算出過程におきましても、

固定資産税等の負担義務はない、という事を前提にしています。


以前、競売になった不動産の、

当該年度分の固定資産税等を全納していた旧所有者が、

その年度中に競売で所有権を取得した買受人に対して、

取得以降の期間に相当する固定資産税等に対して、

不当利得返還請求を求めましたが、裁判所は認めませんでした。
(大阪地判平23,2.7)



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