前回、事前調査についてお話させて頂きました。

でも、事前調査しても分らない場合があります。

以下の事例は参考までに。


◎空家物件で、三点セットには、自殺についての記載は全くありませんした。

落札してから、自殺があった物件、という事がわかりました。

買受人は、現況調査を担当した執行官が自殺の事実の調査を怠ったのは執行官の調査ミスとして、国家賠償法に基づく損害賠償の請求の訴えを提起しました。

さいたま地裁において、平成21年1月30日、執行官に過失があるとはいえない、として、この訴えは棄却されました。


◎元所有者が競売建物内で自殺した事を縁由とし生活環境が結果的に当該建物の交換価値に減少をきたしたとして民事執行法第75条第1項を類推適用して売却不許可決定がなされた事例。(福岡地裁平成2、10,2)


◎競売の目的居宅内で所有者の夫が自殺した事が判明した場合について民事執行法第75条第1項を類推適用して売却許可決定が取り消された事例。(札幌地裁平10、8,27)


◎事故死かどうかは不明ですが、債務者兼所有者が競売物件であるマンションの一室で死亡し、その遺体が4ケ月も放置され腐乱した状態で発見されたため売買価額を減額せざるを得ない時は、競売物件の交換価値が著しく損なわれたものであり、民事執行法第75条1項の損傷に当たるとされた事例。(名古屋高裁決平22、1,29)
これは、原審では、売却許可決定の取消の申立が却下され、執行抗告で逆転、認められた事例です。


いろんなケースで、裁判所の判断もいろいろのようです。

不幸にして、落札物件が事故死物件だった場合は、

売却不許可決定の申立、或いは売却許可決定の取消の申立をして、

白紙に戻す事を考える、というのも一法です。

ただ、希望通りいくかどうかは分かりませんが、

申立書作成につきましては、弁護士・司法書士など専門家に相談されたほうが良いでしょう。


以下、民事執行法第75条(再掲載)、民事執行規則第29条を掲載させて頂きます。

参考にされて下さい。

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第75条  

1.最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。
2.前項の規定による売却許可決定の取消しの申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
3.前項に規定する申立てにより売却許可決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。

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(現況調査報告書)
第二十九条
1 執行官は、不動産の現況調査をしたときは、次に掲げる事項を記載した現況調査報告書を所定の日までに執行裁判所に提出しなければならない。
一 事件の表示
二 不動産の表示
三 調査の日時、場所及び方法
四 調査の目的物が土地であるときは、次に掲げる事項イ 土地の形状及び現況地目ロ 占有者の表示及び占有の状況ハ 占有者が債務者以外の者であるときは、その者の占有の開始時期、権原の有無及び権原の内容の細目についての関係人の陳述又は関係人の提示に係る文書の要旨及び執行官の意見ニ 土地に建物が存するときは、その建物の種類、構造、床面積の概略及び所有者の表示
五 調査の目的物が建物であるときは、次に掲げる事項イ 建物の種類、構造及び床面積の概略ロ 前号ロ及びハに掲げる事項ハ 敷地の所有者の表示ニ 敷地の所有者が債務者以外の者であるときは、債務者の敷地に対する占有の権原の有無及び権原の内容の細目についての関係人の陳述又は関係人の提示に係る文書の要旨及び執行官の意見
六 当該不動産について、債務者の占有を解いて執行官に保管させる仮処分が執行されているときは、その旨及び執行官が保管を開始した年月日
七 その他執行裁判所が定めた事項
2 現況調査報告書には、調査の目的物である土地又は建物の見取図及び写真を添付しなければならない。
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