半世紀近くの以前、前回同様、化石的なお話です。

馬鹿馬鹿しい、と思う方、そうでしょうねえ。

ジジイの昔の話なんか聞くだけ時間の無駄。

でもね、これからの数分間、無駄遣いかどうか・・。


当時、競売業者の間で、「甕(カメ)に埋めた」という言葉をたまにききました。

「甕にうめたよ」といったら、それについての会話の進展はストップ。

私は意味が判らなかったので、

勤務先の社長に聞きました。

「お金を隠すことだよ。」

その一言だけ。

(あれ、ひょっとして脱税? そりゃあまずいじゃん)


そのころの、裁判所の競売の世界は、

住宅ローンの破綻での競売は比較的少なかったように記憶しています。

ギリギリでの住宅ローンなんてのはあまりなかった。

また、会社員は時代に保護されていましたので、

年収は毎年アップして当り前、

収入源のリスクなんて考えもしませんでした。

大半は、事業での失敗からくる換価処分としての競売です。

競売業務に携わる人も、かって事業家だったが失敗、

全財産を失って?

実体験で身につけた強烈な知識の鎧で、

この世界に流れ込んだという元社長も結構いました。

とにかく、全てを失っています。

物的財産、家族、親戚、友人知人、

自分の体以外は突然、一瞬にして消えました。

マジシャンだって、こう見事には消せないかんじ。


私が勤めていた会社の社長もそうだったようです。

よく言っていました。

会社を潰すと、債権者以外の人はきれいに去っていく。

カーレース、

一団が、眼の前の場景を一瞬上下に切り裂き移動するようなはやさで。

無理を聞いてくれていたそれまでのとりまきが、

それこそ冷酷な、おっとこれは個人の印象ですが、

スパッと他人に、

それも全身から発する拒絶オーラが服を着たような他人に変わる。

彼はいつから耳が聞こえなくなったのかな、それほど無視されまくるんだよ。

道を歩いている全くの見ず知らずの他人のほうがまだまし。

いくらあいつには散々おごってやった、なんて言っても、

そんな奴等ほどさっさといなくなる。

去っていかないのは、

つきまとっているのは、

(負けず嫌いの人ほど)

自意識過剰と背中あわせの虚栄心!

それと借金取り・・当り前ですが・・。


それまでの日常は突然みごとに暗転。

今までの色彩カラーの世間が一瞬無彩色に変わる。

透明じゃあない、透明だったら先が透けて見えるけど、

先の見えない泥一色。

暖かい思いやりなんてどこにもない!

周囲が全て、突然変わってしまうんだ。

いやいや、それは俺の勝手な言い分だろうなあ。

俺の失敗が周囲を変わらせてしまったんだよ!

周囲が変わる原因は、

倒産する前の俺にあったんだろうなあ。

まあ、そう思い込むのが、楽だな。


そうなると、信じられるのは、「金」だけ。

「金」で裏切られたと思ったけれど、

結局裏切らないのが「金」だった、と気付かされるんだよ。


当時の競売業界で、

地獄の中でのたうち回った者どうしの、最低限の思いやり。

お金を甕に隠せたら、

・・・・「良かったなあ」

舌打ちしながらの9割以上の嫉妬心と1割以下の祝福心で。

それ以上の詮索はなし。

訊くだけ自分がみじめだよ、

ということのようでした。


社長が言ってました。

おれも甕にうめたよ、三つばかり。

私が会社を辞めて独立しようという時

初めて聞く台詞でした。


そういえば、1週間に数回は裁判所の競売場に行き、

殆ど毎回、

相当額のチリ銭(当時の業界隠語、談合金で裏金のこと)のやり取りをしていたようです。

(当時の競売は入札ではなく、買受希望者が直接顔を見ながらのセりです。

セリが始まる前の事前交渉=談合金で解決=は、よくありました。)


お前、俺についていれば、生活の安定は保障するぞ、

辞めるな、手伝えよ。

会話の流れが、社長の眼が、そう言っていました。


三つとはいくらなんだろう?

私の勘では?????????

まあ幾らでも、所詮は他人のもの。

それから数十年。



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・・・・・アァ〜アッ。


やっぱり時間の無駄遣いでしたか、

あなたさまの数分間と、私の数十年と・・・・。


・・・・・・・すみません!!!!!

あなたさまに対して、わたしの妻に対して!






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